今田 信宏 様

ダントツの最下位から
シリーズチャンピオンへ!!

ポルシェGT3CUP CHALLENGE (現PSCJ)に初めて出場した時、ダントツの最下位でした。
それが悔しくてサーキットで練習しながらレースを継続しましたが、どうしてもトップから約4秒落ち。上位入賞することがまったくできませんでした。「もっと練習してください」「皆、たくさん練習していますよ」「速いドライバーは10年以上の選手ばかりですよ」と慰められましたが、私は、10年も待てない。すぐにでも入賞したい。ただ、練習はしたいもののポルシェのカップカーを一度走らせると100万円単位で費用が必要。さらには、富士、鈴鹿の走行日は限られています。時間との戦いも深刻です。

そんなときに友人から莞士くんを紹介受けました。

初めは半信半疑。
ところが、革新的でした!

それまで、様々な方に教えてもらっていたのですが、どうしても感覚的な話が多かったのですが、数値を絡ませた具体的な指導でした。
例えば、「ここは思っている以上にブレーキをギューっと踏んで、ハンドルを大きく切って、向きを早く変えることが重要なコーナーなんです」と他の方から教えてもらったことがあります。今なら理解できる話も当時は、「で、どうしたら良いの?」と、頭の中は疑問だらけでした。それが、

「ブレーキをギューと踏んで」→「ここは初期踏力100%で(システムで踏力が数値で出ます)」
「ブレーキは弱く」→「踏力30%で。今のは70%、踏み過ぎ!」
「ハンドルを大きく切って」→「最大舵角90度以上で。スリップアングルをつけて。今のスリップアングルついてないですよ。」

この頃はデータロガーは自分で読めませんでしたが、常に莞士くん自身が走ったデータとの違い、自分自身の指導前後の違いをロガーベースで説明を受けることで、具体的に修正していきました。

レース出場経験等

  • スーパーフォーミュラライツ
  • フォーミュラリージョナル
  • フェラーリチャレンジ
  • ポルシェカレラカップ
  • フォーミュラエンジョイ

シリーズチャンピオンへの軌跡

レース初参戦~レース開始初年度~

レースを始めたきっかけは、ポルシェの走行会。
走行会で速い速いとおだてられ、じゃ、レースに出てみようかとレースに出た。
市販車の改造ベース。草レース。
簡単に上位に入った。
今から思えば腕ではない。車の改造勝負。

いい気になって、次はワンメイクのポルシェGT3カップチャレンジ(現PSCJ)に参戦した。
簡単に上位に入るつもりが・・・、なんとダントツの最下位。一人旅。

サーキットで練習しながらレースを継続したが、
ワンメイクに出ている方々との圧倒的な実力差を思い知らされるばかり。
トップから約4秒落ち。
結果に愕然としながらも、ワンメイクの圧倒的レベルの高さに魅惑を受けた瞬間でもある。「速い」というのはこういうことをいうんだと。

まわりからは、
「速くなるためには、もっと練習してください。」
「皆、たくさん練習している10年以上の選手ばかりですよ」
と慰められた。

10年も待てない。すぐにでも入賞したい。

一方で、練習はしたいもののポルシェのカップカーを1日走らせると100万円単位で費用が飛んでいく。このままレースを続けても良いものか・・・?
更には、富士、鈴鹿サーキットでの走行日は限られている。
時間との戦いも深刻だ。

◼️レース初年度の戦績

ポルシェGT3カップチャレンジ:ダントツの最下位!

カンジレーシングシミュレータージムとの出会い~レース開始2年目~

この頃は、プロ、アマ問わず様々な方に教えてもらっていた。

彼らには共通点があった。
教え方に感覚的な話し方が多いのだ。例えば、

「ここは思っている以上にブレーキをギューっと踏んで、向きを早く変えることが重要なコーナーなんです」
「このコーナーは路面を掴む感じでやや大回りに」

今なら理解できる話でも、当時は、「で、どうしたら良いの?」と、頭の中は疑問だらけだった。

そんなときだった。

友人から田中莞士君を紹介された。
「速く走る指導をしてくれるシミュレーター屋さんがあるよ」
初めは半信半疑。
シミュレーター屋さんが走行指導してくれる??
シミュレーターで速くなったら実車でも本当に速くなるのだろうか?
F1選手がシミュレーターで練習していることは知っていた。でも、システムが違うんじゃないの?

友人に連れられて、ジムの門を叩いた。

まず、現状と将来どうなりたいのかを聞かれた。
莞士君には、現状ダントツ最下位であること、でもとにかくポルシェでバトルをしたいんだ!という要望を強く伝えた。
莞士君は、きちんとシミュレーターと実車の複合プログラムをこなしてくれるなら、

「中位なら100%可能」
「やり方と努力次第で優勝も可能性はあります」

と断言してくれた。
まだまだ半信半疑ながらもとりあえず指導を受けることにした。
初のシミュレーター。スピンばかり。速攻でシミュレーター酔い。一本(20分)も乗れない。
次回から酔い止めを服用してからのトレーニングだ。

しかし指導を受けてすぐに分かった。話す内容がとにかく具体的だ!!ロガーや図解ベースで説明してくれる。

ブレーキをギューと踏んで徐々に弱めて

ここは初期踏力100%で(システムで踏力が数値で出ます)、クリップに向けて徐々にリリースして三角形の波形を作って。ほらこのグラフのように途中から抜けちゃってますよ。

ここはブレーキは弱く

踏力30%で。今のは70%、踏み過ぎ!

ハンドルを大きく切って

最大舵角90度以上で。スリップアングルをつけて。今のスリップアングルついてないですよ。

これだ!!
革新!!

この頃は、データロガーは自分では読めなかったが、常に莞士君自身が走ったデータとの違い、自分自身の指導前後の違いをロガーベースで説明を受けることで、具体的に修正していく。
間違いを指摘後、次回走行で一発修正という訓練を常に続けることになった。

実はこの訓練、指導後一発で修正するというのは実車で速くなるには大きな強みとなっている。実車でもプロのロガーがあれば、自分の走りを矯正できるのだ!

現在でもレースをする際はプロにロガーを作ってもらって自分の走りを矯正するようにしている。

余談

プロドライバーは初めての車、初めてのコースで、しかも数周で自分が真似できないタイムを叩き出す!プロはなんと凄まじいものか!

トレーニング・トレーニング・トレーニング

この頃の指導で言われ続けたのは、次の3つの項目。

  1. 目線、目線、目線。車は見ているところに行く
  2. ハンドルをしっかり切る。思った以上に切れていない
  3. ブレーキ波形を三角形に

実車での練習は、時間と費用の都合上ほとんど練習できず、ほとんどがシミュレーターでの練習となった。
この頃は、週に4〜6コマ程のトレーニング。
シミュレーターで車酔いは止まらず、毎回酔い止め薬を服用しながらの練習だった。

実車で走る際は、莞士くんにもレースに来てもらいオンボードやロガーデータも解析してもらった。
その場での走りの改善点以外にも、

  • シミュレーターでの課題と実車の課題が全く同じであるこの確認
  • 弱点を克服するようなシミュレータ車両をセッティングにして訓練
  • 場合によっては実車に莞士くんに乗ってもらってシミュレータとの相違を確認しデータチューニングや精度アップ
  • 更に実車での指導や実車のロガー作り、ポルシェ特有の走らせ方、バトル、WETでの走りかたなどを強化するためにプロドライバーも紹介してもらった

◼️レース2年目の戦績

ポルシェGT3カップチャレンジ: 中位でバトル!!

フォーミュラエンジョイでトレーニング

レース2年目の途中から、カンジ君から提案があった。
「フォーミュラエンジョイ」で実車トレーニングするということ。
もちろんシミュレーターとの併用。

この頃、ポルシェGT3カップチャレンジのレースでは中位とバトルするレベルになっていたものの、今田の問題点が徐々に明らかになってきた。

  • コーナー出口のアクセルオンでリヤが出た時にカウンターが遅れスピンしている
  • レース後半でタイヤのグリップレベルが落ちた時にそれ以上にタイムが大きく落ちる
  • 雨だと極端に(10秒以上!!)遅い。この頃は雨だと棄権することを真面目に考えていた。まともに走れていない
  • 要は車を振り回す能力が低い。路面環境変化に弱い

「フォーミュラエンジョイ」でトレーニングすることで、車のコントロール能力を高め、運転の引き出しを増やすことができるとのこと。

フォーミュラエンジョイは入門フォーミュラ。
パワーは100Hp無く、最高速は170kmほど。
デザインもお世辞にもイケているとはいえない。

Super FJじゃダメ?
F4じゃダメ?
せめてVITAは?

ポルシェでレースをしているため、あまりにも格下イメージが強い。
乗ることに抵抗感の塊。
結果、全部ダメ出しされた。

Super FJ :悪くないが挙動がやや特殊。レースレベルは比較的高く、出場してもほぼ最下位確定。自信を無くすだけ。
F4 :速すぎて基本を学べない。乗せられてしまい、振り回すまで至らない。
VITA レースレベルは手頃で良く、素直な動きはするものの、挙動があくまでハコ車で緩慢すぎる。

あくまでフォーミュラ、将来速く走りたければフォーミュラに乗って基礎を学ぶ必要があるとのこと。ここが莞士くんの真骨頂。莞士くんはあくまでドライバーを養成する手段としてシミュレーターを使っている。シミュレーターが全てを解決するわけではないこともよく知っている。

嫌々ながらフォーミュラエンジョイに鈴鹿南コースで試乗した。

だが・・・

これが思っていたのと違う。
楽しい。
凄く楽しい。
車の運転ってこんなに楽しかったんだ!!

今田の初試乗は1分1秒台。
カンジ君の南コースでのベストラップは56秒台。
でも、遅いなりに車は自分の一部のようにキビキビと動く。
そのくせ、すぐにスピンする。

費用は1回10万円いかない。半年で20日以上乗った。
特に雨や雪が降っている日は好んで走った。
その結果、ようやく57秒台まで出せた。

成果:カウンターはもちろん自由自在、wetでのコントロール方法、シフトダウンでのリアタイアへのトラクションのかかり方、進入で向きを変える方法など、タイヤロックの感覚、タイヤへの荷重のかけ方など多くを学んだ。
あんなに嫌いだった WETがいつの間にか大歓迎となっていた。

この時からだ。
●脳内で実車の挙動とシミュレーターの挙動が完全一致したのだ!!

またもう一つ理解した。
●シミュレーターで出来ないことは実車では絶対にできない。間違ってもシミュレーターで出来なかったのに実車は上手くいった、とはならない

レース参戦3年目 ついにシリーズチャンピオンへ‼ 

私にとって勝負の年となった。

それまで理解度が浅かったドライビングに関して、どうすればいいのか分かるようになってきた。それに伴いタイムアップもしてきた。

タイムアップにつれて、走行に対する考え方やレクチャー内容は複雑化、細かな内容となっていく。特にプロから見た場合、私の走りは未熟そのもので細かく指摘したいことが山のようにあるようだった。
しかしカンジくんはタイムアップに有効な指摘を3つまでに絞ってくれる。
場合によっては、指摘はひとつだけなのだ。

フォーミュラエンジョイに乗って現実を理解したことがある。
速い車にそこそこ乗れたら遅い車では速くなる。世間ではこう言う方も多い。
実は逆。
遅い車で遅い人は、速い車でもやっぱり遅いんです。

□本年の参戦
・ポルシェGT3カップチャレンジ
・フォーミュラエンジョイ

□シミュレーター
・細部の悪い癖の修正
・実車では出来ない領域を試す
・コースどりの変化でのタイム差などを自分で検証
・走り込む

□実車練習
・フォーミュラエンジョイ
・JAFーF4 高速コーナスピードに慣れる!ノンスリップデフのないFIA-F4は不可
・カート KT100

◼️レース3年目の戦績

念願のポルシェGT3カップチャレンジでシリーズ優勝!!(9戦中7戦で優勝)
フォーミュラエンジョイ: シリーズ第3位

レース参戦4年目

飛躍の年。

まだ早い?来年?と考えながらも、この年、ポルシェカレラカップに参戦してみることに。
カレラカップとは、ポルシェカップカーを使ったジェントルマン向けワンメイクレース。このときはジェントルマンには一番ガチなレースがカレラカップだと思っていた。
(現在、スーパーフォーミュラライツが飛び抜けてガチと判明)

練習方針、パターンもずいぶん固まってきた!

□本年の参戦
・ポルシェカレラカップ
・フェラーリチャレンジ
・フォーミュラエンジョイ

□シミュレーター練習
・海外初参戦。初コースの徹底練習
・細部の悪い癖の修正
・莞士くんとバトル、追走(莞士くんのシミュレータを購入。ネット回線で繋いで遠隔バトル!!!)
・シミュレータが手元にあるので練習量追加
・レース前の細部矯正

□実車練習
・フォーミュラエンジョイでレースのみ。レースバトル慣れ。莞士くんからはもうFormula Enjoyのレースは辞めていいと言われたけどシリーズチャンピオンを取りたかった!
・カート練習
・JAFーF4の練習走行

◼️レース4年目の戦績

・ポルシェカレラカップ シリーズ5位、鈴鹿戦優勝、ルーキー賞
・フェラーリチャレンジ アジアパシフィック シリーズ3位 モテギ戦優勝
・フォーミュラエンジョイ シリーズ優勝!!!
・JAFーF4 スポット参戦 鈴鹿戦2位

ちょっと欲張って参戦し過ぎた。忙し過ぎ。3週連続レースウィーク、内1回は海外初コースなど、過密スケジュール。時間がなさ過ぎて実車どころかシミュレーターすら満足に練習できないまま、ぶっつけ本番ばかり。

しかし忙しかったり練習不足なりに、初めての海外コースの楽しさや、違うレースフォーマットの面白さなどレースの新たな魅力も発見。
気持ち的には年間を通した結果は不満。きちんとシミュレーターをこなせていたら、さらに上位にいけた。

しかし実際のところ、ぶっつけ本番のレースばかりにも関わらず戦績は良かった。
この頃から、「実は実車練習はそれほどしなくてもシミュレーターのみで良いのではないか?」と思い始めた。

レース参戦5年目

昨年走って分かったのだが、どうやら「走ること」はハコ車よりフォーミュラの方が楽しい!?
聞いてみるとどうやらフォーミュラの方が楽しいというのはプロレーサーや周りのジェントルマンの多くの共通認識らしい。ただフォーミュラはやはりとっつきにくくジェントルマンの参戦者人口はハコと比べると少ない。一方で速い人や純粋に走るのが好きな人の比率はフォーミュラの方が高い気がする。

今年はフォーミュラリージョナルというカテゴリーが日本で誕生する年だ。
リージョナルはF4とF3の中間に位置するカテゴリー。
童夢さんのリージョナル試乗会に参加した。パワー感にあふれ、なかなか楽しいマシンだ!
レンタル車輌でスポット初戦に参戦したところ運良く優勝!童夢さんにもし初戦に優勝できたらシリーズ参戦しますよ、と軽口を叩いていたのが現実となりシリーズ参戦することになった。

□本年の参戦
・フォーミュラリージョナル

□シミュレーター
・GT3車輌で世界のコースを走る。引き出しを沢山作る!
・レース前の徹底シミュレーター練習 20〜30コマ/レース

□シーズン前の実車練習
・カート実車での超接近・接触追走
・フォーミュラに備えカート長時間走行での体力作り
・フォーミュラルノーでの練習(あくまでノンスリデフ付き車輌)
・フォーミュラルノーでのプロ追走
・フォーミュラエンジョイよりもっと遅い車FK4での超基礎練習

レース車輌での事前練習走行はゼロ。
レースで走るのはレースウィークだけ!

この年からメンテナンスガレージがスーパーGTやスーパーフォーミュラをやっているレース屋さんに変わった。トップカテゴリを戦っているガレージと接することでレースへの取り組み姿勢、ドライバーに求められることなど、意識改革も求めらた。

特に宣言された中で印象的な言葉がある。
・ドライバーが乗りにくくても速いマシン作りをします
・オーバー、アンダー両方でない車は作れません。弊害側はドライバーの運転で何とかしてください
・練習走行は目的がない限り行きたくありません。ドライバーの練習は目的に入りません

なるほど。ミドルカテゴリーからはドライバーに求められることも変化するんだ!

また、この年の終わりには様々な方のご支援によりジェントルマンとして史上初となる、スーパーフォーミュラのルーキーテストに出場した!!

◼️レース5年目の戦績

フォーミュラリージョナル マスタークラス シリーズチャンピオン
スーパーフォーミュラライツ スポット参戦
スーパーフォーミュラ ルーキーテスト参加!

レース参戦6年目

前年にスーパーフォーミュラライツ(F3)にスポット参戦し、本年は絶対コレ!という状態。
ライツは今まで経験のないハイダウンフォースでコーナーリングスピードはスーパーフォーミュラを上回ることさえある。今までのメカニカルグリップの挙動に加え、ダウンフォースによるグリップを使いこなさないと速く走ることはできない。具体的にいうとコーナーでアクセルを抜くとダウンフォースが抜けてアンダー、アクセルオンでハイダウンフォースが生きてレコードラインをトレースできたりする。今までの常識が通用しない世界だ。
ライツのラップライムはジェントルマンがレースに出場できる車輌としてはGT3車輌を含め最速。年間のタイヤ本数制限もあり、練習走行に行くという概念もない。
シミュレーターとレースウィークのみの調整で勝負となる。どのくらい速いか表にしてみた。

□富士スピードウェイのラップタイム
(季節も違いあくまで参考タイム。プロアマ混在)
・スーパーフォーミュラ 1.19秒 プロのみ
・GT500 1.26 プロのみ
・スーパーフォーミュラライツ 1.31 以下ジェントルマン参戦可
・GT300 1.34
・フォーミュラリージョナル 1.36
・カレラカップ 1.40
・フェラーリチャレンジ 1.42
・FIA-F4 1.45
・スーパーFJ 1.54
・VITA 2.00

今年も昨年に引き続きスーパーフォーミュラのルーキーテストに出場が叶った。危険だからこそ楽しい鈴鹿。JRP、各エントラント、ホンダ、それぞれ皆様のご理解と協力の賜物。感謝🙇‍♂️。
昨年は赤旗出したり若手の邪魔をしたらそこで終了が条件だった。今年は少し緩めていただいて絶対にエンジンを壊さないことが条件。リヤからのクラッシュは厳禁だ。セーフマージンを取りながら自分なりの最高のプッシュ。
シミュレータで走り込んだ成果もあり若手3秒台落ち!爽快!
人生最速体験、鈴鹿1分40秒。人生最良の日の一つ。

□本年の参戦
・スーパーフォーミュラライツ
・スーパー耐久 ST-Z クラス

□本年の練習
・カート実車 KT、X30、ミッション
・首強化 X30 +ヘルメットに重り付加でロング走行
・レース前の徹底シミュレーター練習 20〜30コマ/レース。特にダウンフォースの理解

レース参戦7年目(2022年)

スーパーフォーミュラライツがとにかく刺激的だ。繊細かつアグレッシブなドライビングを要求するこのマシン、自分の極限まで攻めてもまだその先がある。
マシンが自分に語りかける。『なんだ?お前の限界はたったその程度なのか?俺の能力を出し切ってみろ!』

予選は自分の限界を試す場だ。予選乗車前は胃の中のものを戻しそうになるまで自分を精神的に追い詰める。もっとも予選前、胃の中はカラなんだけど。ツーリングカーや他のミドルフォーミュラ(FRJ・FIA-F4)は上手に乗ると速い。スーパーフォーミュラライツは上手に乗った上で限界値が高い奴が速い。若手のスーパーフォーミュラ登竜門たるゆえんだ。間近で人生を賭して戦っているのを見ると心から応援したくなる。全員に勝って欲しいがチャンピオンは年に一人。基本的にチャンピオンしかスーパーフォーミュラのシートは無い。

スーパーフォーミュラライツのレースウィークが終わると心身ともに疲弊する。しかし日曜日の夜は精神高揚が残って眠れない。

若手トップとの予選タイム差は昨年比0.5秒ほど縮まった。まだ自分の走りは進化している!
ジェントルマンの参戦台数こそ少ないがDRAGON選手や若手下位とのバトルが熱い。若手下位といってもスーパーGTドライバー。やられた!ここでインに入られるのか!全身全霊、渾身の力で走っても後ろは振りきれない。リヤに舐めるように接近される。何度も並走されかかる。心拍数は180を超える。ワンミスでオーバーテイクされる。28周全力かつノーミスでやっと勝てるレース。レースは毎回学ぶとこだらけ。バトルも進化した。技術面ももちろんだがバトル負けしない強靭な精神力が培われる。

フェラーリチャレンジにもフル参戦。スーパーフォーミュラライツからの乗り換えや、ある程度接触してもOKという概念の理解に苦労したものの、ヨーロッパ、アメリカ勢を含めたオーバーオールでポールを取るなど進化した自分に驚いた。3年前、あれほど速い、手が届かない、と思っていたヨーロッパ勢。彼らのホームである海外コースでアウェイの自分が互角に戦えている。車内が暑くて後半集中力が切れていたのも、今では後半こそチャンス、後半もペースは落ちない。それどころか自分の本領発揮だ。これもロングレースが多く、体力、気力の限界を常に試されるスーパーフォーミュラライツのおかげ。

今更だが気づいた。
挙動の速い車で速いと、挙動の遅い車も自動的に速くなる=フォーミュラで速いとツーリングカーも速くなるということだ。フォーミュラエンジョイで速い人はフェラーリチャレンジでも速い。つまりフェラーリチャレンジよりもフォーミュラエンジョイの方が挙動は速いということだ。もちろんパワー、最高速度の違い、LSD有無、電子デバイス有無など特有の技術を学ぶ必要があるが、サーキットで速い=コーナーを早く曲がる人=フォーミュラエンジョイで基本は十分学べる。
これがスーパーフォーミュラライツになると挙動変化が異常に速い=フェラーリチャレンジの挙動変化はスローモーションに感じる、ということになる。
素人考察だがこれが、フォーミュラに乗ったらツーリングカーが速くなる最大の要因だと考えている。FRJをGT3の練習のために乗る人がいる。とても良い考えだ。自分ならスーパーフォーミュラライツをGT3の練習に使うだろう。より効果が高いはずだ。

フォーミュラとツーリングカーの乗り換えは難しい。プロでも難しいという。特にフェラーリチャレンジ→ スーパーフォーミュラライツがヤバかった。シミュレーターでは舵角を入れるスピードが速すぎてオーバーで即飛んでゆく。実車だと全損コース。シミュレーターで乗換練習を徹底したつもりでも実車ではフェラーリ病、ライツ病が発症する。これもこの一年間で相当鍛えられた。
実車練習は相変わらずやらない。その時間はない。時間があれば別のレースに出るから。そういったレースは勝てないんだけどね。
負けても構わない。レース、実戦こそが最高の練習だから😃

□本年のシリーズ参戦
・スーパーフォーミュラライツ
・フェラーリチャレンジ

□本年の練習
・カート実車 X30、MAX (主にシーズンオフ練習)
・シミュレーター徹底乗換練習 フォーミュラ、ツーリングカー
・シミュレーターWET練習
・暇ならどんどんレースに出る
・レース前のシミュレータ徹底練習
・セット違い、路面違いはもちろん徹底してやる
今年は更に雨の可能性があればWET練習を取り入れた。カンジくんのWET設定は絶妙。
WET+低気温+ダンロップなど温まらない条件でいかに温めるのか

◼️レース7年目の戦績

全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権 マスタークラス(シリーズチャンピオン)
フェラーリ・チャレンジ・アジアパシフィック ピレリクラス(シリーズ2位)優勝4回
フォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズ・チャンピオンシップ マスターズクラス 5戦スポット出場
FIA-F4選手権 インディペンデントクラス 4戦スポット出場

 

 

最後に

本当にたくさんの指導をいただいている莞士くんに感謝!
またプロの方々にも多くの素晴らしいアドバイスをいただいています。
本当に心から感謝しかありません!!

目指せジェントルマン最速!

プロフィール

 今田 信宏 Nobuhiro Imada

戦歴

2016年ポルシェGT3カップチャレンジ参戦
2017年ポルシェGT3カップチャレンジ参戦
2018年ポルシェGT3カップチャレンジ

カテゴリーⅡクラス シリーズチャンピオン

フォーミュラenjoy FE1クラス シリーズ3位

2019年フェラーリチャレンジ・アジアパシフィック ピレリクラスシリーズ3位

ポルシェカレラカップジャパン シリーズ第5位

フォーミュラenjoy FE2クラス シリーズチャンピオン

2020年フォーミュラリージョナル マスタークラス シリーズチャンピオン
2021年全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権 マスタークラス(シリーズチャンピオン)
スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook ST-Zクラス出場
フォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズ・チャンピオンシップ マスターズクラス
FIA-F4選手権 インディペンデントクラス
2022年全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権 マスタークラス(シリーズチャンピオン)
フェラーリ・チャレンジ・アジアパシフィック ピレリクラス(シリーズ2位)優勝4回
フォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズ・チャンピオンシップ マスターズクラス 5戦スポット出場
FIA-F4選手権 インディペンデントクラス 4戦スポット出場